デザイナー
FUTATSUKUKURI
林 香衣
学生時代に突き詰めた好きなことが
今の自身の作風につながっている。
小学校の頃からファッションが好きで、高校の先生に薦められて体験入学に参加したのがマロニエとの出会いでした。私が所属していたデザインコースは、性格もファッションも個性的な人ばかり。だからこそ私も、ありのままの自分を包み隠すことなく、音楽に、マンガに…と好きなことに没頭することができました。友達と刺激し合える環境で、よりおもしろいもの、自分らしいものを追い求めた日々が、今の私の礎になっているのだと思います。卒業後は、若杉先生のもとで縫製の技術を学び、フリーランスのデザイナーとして劇団衣装を作ったり、古着のリメイクアイテムを販売したりしていました。その後、マロニエの同級生と一緒に「FUTATSUKUKURI」を立ち上げました。FUTATSUKUKURIは、「幼い頃の記憶や憧れにデザインを加えて新しい価値を生み出すこと」をコンセプトにスタートしました。
ものづくりにこだわる人から教わった
洋服づくりにおける縫製の大切さ。
マロニエを卒業後、実際にデザインに携わる仕事に就いた今、思い返すのはデザインの方法や作り方だけではなく、現場で仕事されている先生から聞いたプロ目線のお話です。今でも尊敬する若杉先生をはじめ、先生方には厳しさの中にも愛情あふれるご指導をいただいたおかげで、洋服づくりを追求し、切磋琢磨を重ねることができたのではないかと思います。授業の中でも特に印象に残っているのは、若杉先生の縫製の授業です。例えばジャケットの場合、袖山にいせ込みを入れる作業がとても難しいのですが、細かくぐし縫い(ギャザー寄せ)をして、アイロンできれいに整えるコツを根気強く教わりました。よく「FUTATSUKUKURIの洋服は、縫製がきれい」とお客様から褒めていただくのですが、それはマロニエ時代に縫製の大切さを仕込まれたからだと断言できます。縫製を丁寧に行った洋服は、ハンガーに吊るしただけでもフォルムがきれいですし、洗濯やクリーニングの後も型崩れの心配がありません。愛着を持って、長く着用していただくためにも縫製を大切にしていきたいですね。
ブランドを立ち上げて8年。
結婚、出産を機に、新たな道へ。
3年前にパタンナーの同級生が退き、現在は運営面を主人が担当し、ブランドの新しい可能性を追い求めています。私自身も結婚し、出産を経験することで、デザインの考え方が大きく変わりました。以前は、過去を振り返ることがデザインの基本でしたが、現在は料理や育児などの日常生活がインスピレーションの源になっています。例えば、2年前に発表した「ベイビーブルース」がテーマのコレクションでは、赤ちゃんと暮らす楽しい気持ち、不安な気持ちをブルースに例えて洋服に落とし込みました。そのため、授乳服やエプロン、おんぶ紐などがモチーフになっています。卒業して仕事をしている今、マロニエで学んだことが大いに生かされていると身をもって感じます。分からなければ分かるまで教えてもらえる環境にいる今、自分の身になるまで追求してほしいです。学校で学ぶことはファッションの世界で働く上で全てが自分の糧になります。是非、学生でいられる時間を大切にして、たくさん吸収してください。 咲き乱れよ若き乙女たちよ!(おとこのこも含む)